映画『怪物』今年度、邦画No.1の予感…。
作品情報✨
坂元裕二は、TVドラマの『東京ラブストーリー』、『最高の離婚』、『カルテット』など大ヒットを飛ばし、映画では、『花束みたいな恋をした』で若者の共感を集めた脚本家だ!
音楽では、『レヴェナント:蘇えりし者』など、海外でも活躍している坂本龍一。坂本龍一さんの訃報は非常に悲しいものでした。
待望のタッグ!とは言っても恋愛もののイメージがある坂元裕二さんと社会派作品の多い是枝裕和さんとの相性って未知数だし、どちらも妥協しないイメージがあるので、そんな個性と個性がぶつかり合い、良さが消えてしまわないかと不安もありましたが、早速、鑑賞してきましたよー🤔!
あらすじ📒
映画『怪物』予告動画🎬
ネタバレなし感想🤔
3つの視点から事実を見せ、怪物は誰かという真実へ引き込む構成が見事。
ある町で息子と2人で暮らすシングルマザー。ある日、学校で子どもがケガする事態に…。
喧嘩した当人やその周囲のシングルマザーや担任の先生を含めた人物の主張が食い違い、大ごとに発展していくというお話なんですが、これね、ひき込み度がかなり高い作品でした!
そして、真実が明らかになるにつれ、その恐ろしさや表面化してくるメッセージ性に共感し、その構成力の素晴らしさに賞賛する想いとメッセージ性に対する感動が得られます。
是枝裕和 監督作品あるあるですが、考えさせられるメッセージ性…
それを置いといても引き込まれる話構成は、面白い作品だと思います。
3つの視点、シングルマザー/加害者とされる担任の先生/喧嘩したとされる当人の子供2人。
それぞれの視点から話が構成され、それぞれがエピソードとして成り立っているんですが、そのエピソードにピースが完全に埋まらないまま次の視点に切り替わる。
これね、どうも違和感を感じる作りなんですよね。
それもそのはず、シングルマザーは、あくまで「子を守るため」為の行動をしているので、学校側や加害者とされる担任の先生に対して説明を求め、まるで敵対視しているような雰囲気で描かれる訳です。
そこには、担任の先生の言い分も無く、一方的な母親視点が描かれ、事実をうやむやにしようとする学校側が描かれ、シングルマザーへの共感と学校側への苛立ちを感じることになります。
見方によっては、「子を思う母親」「いじめ」「体罰」「モンスターペアレント」「問題を解決しない学校」という様々な視点で観る事が出来るわけです。
そこが面白く、視点エピソードのピースが埋まらないまま、加害者とされる担任の先生、喧嘩したとされる当人子供2人視点への切り替わり、埋まらないピースをそれぞれ観終わった後に事件の全貌が明らかになってくる…。
そんな話の構成力がまず素晴らしく、そして、引き込まれ、面白い。
では、怪物って何だろうという点なんですが、僕なりの解釈を下のネタバレあり感想で話していきたいと思いますので、鑑賞後に読んでもらえれば嬉しいです。
✔映画『怪物』観る前に気になるCHECK POINT👍
映画館推奨率/リピート率
映画館推奨率は、60%です!
話の構成力、物語への引き込み度、メッセージ性どれを取っても一級品で観る価値の高い作品だと思います。ですが、映画館という大画面で観る必要性は少なく、自宅の画面で見ても作品の良さは落ちず、十分引き込まれると思います。
是枝作品が好きで、早めに観たいって方には、映画館がおすすめですが、映画館で観る映画を選びたいと悩んでいる方には、配信待ちをおすすめします。
リピート率は、90%です!
上でも紹介しましたが、話の構成力、物語への引き込み度、メッセージ性どれを取っても一級品で、観るたびに新たな発見や考察の深まりを感じれそうな作品です。視点が変わる毎に感じる自身の感情の変化を整理しながら、切り取られた一部の情報で物事を判断する事の恐ろしさを痛感しちゃいましょう。
ネタバレあり感想🤫
切り取られた一部の情報から判断する事の恐ろしさ
クリーニング店で働くシングルマザーは、小学5年生の息子と仲良く2人暮らし。
母親は、「息子の切られた髪」「水筒に入った土」「無くなった片方の靴」「息子の怪我」などの息子のわずかな情報だけで、いじめの存在や学校の先生による体罰を確信する。
また、担任の先生も学校でのいじめの真実を知らずに、見たものや情報の一部だけを繋げて喧嘩したとされる2人の子供の関係を誤解している。
学校側も平謝りだけで、問題の本質には目を向けず、都合の良いもの/悪いものという偏った見方したしてくれない。
極めつけは、中村獅童さん演じる喧嘩したとされる子供の父親ですが、家庭訪問に来た担任の先生に対して初対面にも関わらず、「学校の先生って給料低いんでしょ?」「大学はどこ?」「年収は?」という質問を投げかけ、それだけの情報でその人を知ったような口ぶりを見せます。
一部の情報だけで人を判断する代表例のような登場人物になっていて、観ていて嫌悪感を感じた訳ですが、それって意外に僕らに日常生活においても無意識にやってしまうそうで怖くなりましたね。
そもそも、自分の息子が学校から帰り、怪我していたり、水筒に土が入っていたり、髪が切られていたりしたら、いじめを連想してしまうのは、当然だとも思う。
人は自分の見たものやその形、信じたいものだけで世界を見てしまう。
そして、信じた…いや、思い込んだ情報だけで作られた世界が1人の人間を構成している。
それってすごく恐ろしい事ですよね。
SNSやニュースでも様々な情報を扱っていますが、その一部を知るだけでその出来事を知った気になり、それぞれの正義の元、ネット上ではやり取りが行われ、炎上までしている。
物事を多角的にみる必要性は知っては居ても、人はそういう風にはなかなか見れない…。
そういう生き物でその点に対する警笛のようなメッセージ性にも感じましたね。
母親の見た、信じたい情報だけで作られた世界…、
学校で体罰やいじめがあり、被害にあっていると思われている世界に居る息子…
本当は、ただ大事な友達がいる世界に居たいだけなのに…
母親の信じたい世界からの離脱=車からの飛び出しだったのかなと感じましたね🤔!
また、セクシャリティの芽生えやその受容も描かれ、それを偏った見方、偏見により「お前の脳は豚の脳だ」と体罰を繰り返し、アイデンティティを抑圧する父親…
大人の偏った意見や一部の切り取られた情報で物事を判断する犠牲者が喧嘩したとされる子供2人であり、2人に取って怪物なのは、そいった大人だったのかもしれません。僕をはじめ…。
3つの視点から事実を描き、物語の真実へ導く構成はやはり素晴らしく、その視点が多い程、世の中は生きにくく、醜い。
観る人の視点によって考察もまた様々であり、そこに面白さも感じる作品です。
僕的には、是枝裕和 監督作品の中で最も面白く興味が持てた作品になりましたー!
以上、映画『怪物』の感想でしたー👍
気になる作品の点数は?😣
10点中/ 9点です!
最後に😀
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